IKUOのひとりごと 〜フランス便り〜

<2008.6.5 File No.6>

物価高のフランス

連日、物価上昇が、新聞、テレビで話題になっている。
政府も頭を抱えているだろうが、サラリー上昇以上の物価高に
一般市民には深刻な問題だ。
パリではバゲットが既に1ユーロになって、1フランが1ユーロの感覚と
思わざるを得ない状態だ。(1ユーロ=6,55975フラン)
バゲットが1ユーロなら(165円)、ガソリン1リッター1,5ユーロ(248円)、
タバコを止められない人には1箱5ユーロと、800円以上している。

フランからユーロへの切り替え時に便乗して、何もかも少しずつ値上がりした。
ユーロ高で日本円やドルを持ってくるツーリストには、全てがより高く見えるだろう。
我々の仕事でも、反対にフランスから輸出する場合、ユーロが高すぎてまともに
計算すれば売れない価格になるので、材料費、工賃の値上げに関わらず、
利益率を落として価格設定しないと、輸出できなくなってしまった。

フランスは、所得税は他のヨーロッパ諸国より低いようだが、TVAと呼ばれる
付加価値税が19,6%と他より高い。(日本の消費者税に該当する物)
直接、間接税、合わせるとヨーロッパで一番高い税金を払っている国がフランスだ。
他のヨーロッパの国に比較して、生産者から消費者に行くまでの間の仲介者が多く、
そのマージンで物価高になるともいわれている。
ベルギー国境に住む人は、ガソリン、タバコ、その他の買い物にベルギーに行くそうだ。

フランスのスーパーでも“この方が安い”と言うのを良く耳にするし、声に出さぬとも
安いのを探して買った方が良い商品は一杯ある。
食料品は安いのを選ぶか、味を選ぶか・・・悩む所だ。

なんと言ってもタダほど安いものはない。
そこで、家の周りで食べられる物は無いかと目を向けると、
意外と沢山あるもので、即、実践。

庭に咲くタンポポの葉はサラダに。誰もが知っている。
少し苦味があって敬遠していたが、煮て食べるとよい、と教えられて
ほうれん草より少し長目に煮ると、食べやすい。
イタリアで食べる、ほうれん草のように、オリーヴ油と酢をかけてサラダにするか
日本流のお浸しにして食べると美味しい。

アカシアの花はお浸しにして食べる。
良い香りと甘味があってこれまたグーです。

先日テレビのルポルタージュで色んな花を栽培して、食料にしている人が紹介された。
殆どの花は食べられる、と言う。
何本か植えてある藤の花の量が多いので、食べられるかと挑戦。
アカシアの花に似て意外と美味しい。
サラダに花びらを乗せて、飾り兼、食用、程度にしか未だ食べてないが・・・
ジャーマン・アイリスも然り。

これからはバラの花を利用できそうだ。
ただ、花類はたらふく食べて満腹する、事は出来ないけど、
多少でも経済的援助にはなるだろう ?

今は次々とハチクの新芽が、筍が出てきて毎日食べている。
ひざ、関節に良いとフランスの本に出ていたが、何よりタダで食べられるのが魅力。

森に散歩に行けば、食料品が手に入る。
蕨がそろそろ終わりになった。
イノモトソウ科のシダの新芽。早蕨(さわらび)と言うそうだ。
根茎から蕨粉を取るそうだ。知らなかった!
バーベキューで使った墨灰を入れた熱湯でさっと煮て一晩置いておけば
ドレッシングかけてアスパラのごとく、又はお浸しで。
フランスではシダを食べる人はいないから、初めて食べる人に勧めると、
手を出す人と出さない人の2通りあって反応が面白い。
未だ日本で牛肉の塊を食べる習慣のないころ、山田耕筰氏は若い学生を
家に食事によんで、生肉を、ステーキ・タルタルを出して若者の反応を見た、と
読んだ事がある。食事を共にすると、普段見えないところが見えるので、面白い。



シダ


散歩道の両側に、草に混じってスカンポ、スイバ(Oseille)と呼ばれる野草がある。
酸味のある味だが、生で少し食べる分には美味しい。
サラダに混ぜて食べたりできるが、本来はポタージュにして食べるらしい。
そのうち誰かに教わってトライしてみたい。


イラクサ

新芽をサラダに入れると柔らかくておいしい。


シソの葉に似た形のイラクサと言う草がある。(0rtie)
日本語では刺草と書くようで、読んで字のごとく触るとピリッと痛みが走る。
田舎道で用を足した経験のある人は、必ずお尻をピリッと感じているはず。
その草も新芽は食用になり、ポタージュにして食べるそうだ。
手袋はめて料理しなければならないだろう。

サクランボの木は、田舎では殆どの人が植えている。
庭の手入れに来るジュリアンの奥さんが、例年のごとく今年初めての収穫で作った
チェリー・ケーキを持ってきてくれた。
雨が多かったので今年は不作と言いながら・・・

チェリーケーキ



田舎道では野いちごの白い花が咲いている。
散歩時はこれから要注意。そろそろ実り始めそうだ。

夏になればイバラの木に(Ronce)沢山の木苺が出来る。
木自体はトゲの多い雑草で、自分の庭では迷惑な木だが、田舎道では大歓迎。
黒く熟れた木苺は甘くて美味しいが、肉料理のソースに使ったり、リキュールにしたり、
又、ジャムは大変美味しいが、自分では作ったことがない。
近くのレストランで、自家製で作って売るので毎年購入している。

そんなこんなで、タダの食料求めて生活を切り詰めているつもりだが、
一向に生活は楽にはならない。どこかで余計な無駄使いしているのだろう。
私は、選挙権は無いけれど、サルコジ大統領に共鳴する所が多い支援者の一人だ。
フランスでの一納税者として、住みやすい国になることを、
大統領に、大いに期待している。

 

                      2008年5月31日

                            IKU〇




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